【図解】わかりやすく解説。日銀レビューで学ぶ分散型金融(DeFi)の仕組み。

この記事では、2021年4月28日に公開された日銀レビューを元に分散型金融の解説をしています。

分散型金融(DeFi)とは?

分散型金融(Decentralized Finance, DeFi)とは、暗号資産市場において、様々な金融サービスをプログラムにより自律的に提供する仕組みです

厳密な定義はないそうですが、

  • 管理主体を必要としないパブリックチェーン上
  • スマートコントラクト(自動契約プログラム)を活用

というのがキーワードとしてあります。

今回は、2021年4月28日に公開された日銀レビューで最近のトレンドであるDeFiの応用例について解説されていたので、その内容を引用しつつポイントを整理したいと思います。

これを見れば現状の概観はつかめますので、一緒に勉強していきましょう。

分散型金融(DeFi)市場の変化

分散型金融サービスは200以上も提供されています。

代表的なものは、

  • 暗号資産の交換(DEX)
  • 暗号資産の貸し出し(レンディング)
  • 保管業務(カストディ)
  • 保険
  • デリバティブ
  • 予測市場

があります。

分散型金融サービスの利用額は大きく上昇しており、分散型金融市場にロックされている資産は2021年5月1日時点で660億ドル(約660兆円)に達しています。

https://defipulse.com/
Tatsuya
Tatsuya

2020年から激増という感じですね。今後どうなるかはみんなが気になるところです。

代表的な分散型金融サービス

ここからは、分散型金融サービスの中でも注目を集めている分散型取引所、レンディングの仕組みについて見てみましょう。

分散型取引所(Decentralized Exchange, DEX)

分散型取引所(Decentralized Exchange, DEX)とは、暗号資産同士を交換する取引所の機能を、スマートコントラクトにより自律的に提供するサービスです。

代表例としては、取引量が多い順にMDEX、 Uniswap、Pancake swap などがあります。

レポート内ではUniswapが例としてあげられており、メインの機能としては、

  • 暗号資産の交換
  • 流動性の供給

となっています。

暗号資産の交換

ページ上部に示した日銀レポートより一部引用

利用者は、流動性プールというコインペアのまとまりの中から、表示されているレートで暗号資産を交換することができます。これは外貨両替と似たような機能ですね。

特徴としては、交換レートがプール内のペア通貨量の積が一定になるよう維持されることです。

図にある通りある取引でAの量が増え、Bの量が減ると、交換レートとしては、

  • A→Bが不利(同じAの量で交換できるBが少なくなる)
  • B→Aが有利(同じBの量で交換できるAが多くなる)

という変化が起きます。

これが他のDEXも存在するとその差を利益として稼ぐ(アービトラージ)人が出てくるため、取引が繰り返されるほど交換レートは(理想的には)一定に収束する性質があります。

この交換が成立するには、通貨ペアの流動性プールが十分である必要があります。

そこで登場するのが、流動性の提供です。

流動性の提供

ページ上部に示した日銀レポートより一部引用

利用者は流動性プールに対して暗号資産ペアを預け入れることで流動性を供給することができます。

ここでの特徴は、プール内と同じ比率で暗号資産ペアを預け入れることです。

これによってプール内の比率が偏らないようになっています。

また、利用者は流動性トークンと引き換えに暗号資産ペアの返還をいつでも受けることができ、その際に手数料収入を得ることができます。これがイールドファーミングと呼ばれているものの一部です。

さらに、流動性トークンを取引所に預け入れる(ステーキングする)ことができ、それによって取引所が独自に発行するトークンを受け取ることができます。これが流動性マイニングと呼ばれるものです。

このように流動性提供は①手数料収入②流動性マイニングによって収益を得ることができるため、多くの人が参加することになっているのです。

Tatusya
Tatusya

一見良いことばかりのようですが、インパーマンネントロスやスリッページ、ハッキングというリスクもありますので、参入するには詳細な理解が必要です。

レンディング

レンディングは、利用者から暗号資産を預かりこれを貸し出す機能を、スマートコントラクトにより自律的に提供するサービスです。

代表例としては、Compoundがあります。

ページ上部に示した日銀レポートより一部引用

仕組みとしては非常にシンプルで、資産の貸し借りにトークンを預かり証・担保として利用し、そこに通常の貸し借り金融のように利息が絡むというものです。

利息や手数料は、流動性プールでの暗号資産の需給をもとにリアルタイムで自動計算される仕様です。

未収利息の増加や流動性プールに差し入れた担保の価格下落などにより、利用者の借入額が借入限度額を超過した場合、追加的な担保差し入れがないと、差し入れ済みの担保は市場価格から一定割合を割り引いた価格で清算されます。

Tatusya
Tatusya

こちらのサイトでは、各コインがどの取引所でどれくらいの利率となっているかを確認できます。

分散型金融のメリットと課題

これらの分散型金融(DeFi)が持つメリットと課題について日銀レポートの中で触れられているものを下記に示しました。

DeFiには、

  • 分散化が進んでいる
  • オープンである
  • 匿名性が高い
  • グローバルである
  • 自律性が高い
  • 改ざん耐性が高い

という特徴があり、これらがメリットと課題に直結していると言えます。

ご自身が利用される場合には、これらを十分に把握した上で、判断することをオススメします。

分散型金融(DeFi)のメリット
  • 既存金融インフラとの競争:サービス改善
  • 新たなサービス創造:潜在ニーズの充足
  • アクセシビリティの向上:誰でもとこからでも
分散型金融(DeFi)の課題
  • 利用者保護:上場審査やレバレッジ規制がないなど
  • スマートコントラクトの不具合:サービス停止や巻き戻しが困難
  • 影響の波及効果:一部に不具合があると他の取引所まで影響あり

おわりに

この記事では、2021年4月28日に公開された日銀レビューを元に、分散型金融の仕組みについて記載しました。

大まかにこれくらいの内容を知っていれば、これらのサービスを利用する下準備はできています。あとは、これらに伴うリスクをよく理解した上で、利用するか否かを判断しましょう。

日銀レビューの最後には、下記のように記されています。

仮に将来的に、既存の金融市場の参加者による暗号資産の投資が大きく増加した場合や、伝統的な金融商品と暗号資産の交換が技術的に容易になった場合には、暗号資産市場と既存の金融市場の結びつきが強まり、金融・決済システムや金融市場の安定の観点から暗号資産市場の重要性が高まる可能性がある。

(日銀レビュー)暗号資産における分散型金融―自律的な金融サービスの登場とガバナンスの模索―より

実際にこのような世界が来るかどうかは、現時点では誰にも分かりません。

しかし、こういった状況に近づくにつれて法規制も厳しくなっていきますので、すでに参入している方は法規制にも十分気をつけながら運用を行なっていきましょう。

それでは。

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