ステーブルコインの特徴・種類とその比較

この記事ではアルトコインの中でもステーブルコインの特徴と種類、それらの比較をしています。

ステーブルコインとは?

ステーブルコインはその名の通り、暗号資産(仮想通貨)の価値安定を目的としたアルトコインです。

貨幣の目的の1つとして「価値の保存」があります。

しかし、アルトコインを含む暗号資産(仮想通貨)は時価総額の高いBTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)ですら変動率が他の資産アセットと比較して高くなっています

その課題を解決するために、ドルなどの法定通貨や他の暗号資産(仮想通貨)の担保、またはスマートコントラクト技術によって価値の安定を目指します。

例えば、ドル価格と連動するUSDT(テザー)の1年間の時価総額の変化は下記の通りです。

ステーブルコインの分類と特徴

2021年3月現在ではステーブルコインは価格を安定させる手法の違いから三つに分類することができます。

ステーブルコインの分類

  • 法定通貨担保型
  • 暗号通貨担保型
  • 無担保型

法定通貨担保型

円やドルなどの法定通貨を担保にコインの価値を安定させるタイプが法定通貨担保型です。

最もわかりやすい例としては「1コイン=1ドル」のように価値を維持するようなもので、Tetherが有名なものとして知られています。

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↑リアルタイムの価格を表示しています。

名前は法定通貨となっていますが、担保の範疇には円・ドル・ユーロなどの他、原油や金も含まれます。

担保となる法定通貨とはいつでも交換できることがメリットがある一方、管理主体への信用が必要とされます。

「いつでも交換できる」を実現するためには、理論上、管理主体は常に流通量と同等の担保通貨準備高を保有する必要があります。また、その通貨発行量は担保されうる量のみに制限されるはずです。この信用こそが、法定通貨担保型にとって最も重要な点となります。

信用からの脱却が起源にある暗号資産(仮想通貨)ですが、やはり信用が登場しますね。。。

一般には一部業務を信託会社に委託する、外部の監査会社を設置するなどして透明性を高めることで信用が維持されています。

投資目線

担保となる法定通貨の種類通貨発行母体の信頼性に関する情報をチェックする

暗号通貨担保型

ETH(イーサリアム)などの暗号通貨を担保にコインの価値を安定させるタイプが暗号通貨担保型です。

基本的な原理は、法定通貨担保型と同様で、暗号資産を担保として預かり、その分と同等のコインを発行するものです。

担保の性質の違いから法定通貨担保型とは次の2つの点が異なります。

  1. 1コインの発行に担保コインが1コイン以上必要
  2. 管理主体への信頼に依存しない

1つ目のコイン発行枚数と担保コイン枚数の関係については、担保通貨の価値安定性が影響します。

ドルなど国が発行する通貨は、基本的に価値を安定化させる仕組みが働いているため、暗号通貨ほどの価値の変動は起きません。そのため1:1の交換比率で価値を保つことが容易です。

一方、暗号通貨を担保にする場合、その担保通貨も日常的に30-50%変動するようなものです。

この変動率の中、一定の価値を維持するためには担保コインを多めに預けて変動分を緩衝させる必要があり、例えば150%-200%分を預け入れることがあります。

2つ目の管理主体への信頼に依存しないという点については、スマートコントラクト技術を利用できるからです。

スマートコントラクトとは、指定したアルゴリズムによりブロックチェーン上で契約を自動完結させるシステムです。

コインの交換事実は書き換えのできないチェーン上で第三者を介さずに完結するため、管理主体が不正な取引を実行しようとした場合も隠すことはできません。このことは、実質的に不正を働くことができないことを意味します。

特徴としては、管理主体への信頼が不要になる一方で、担保通貨の安定性が不十分あるため、どこまで価値安定が維持されるのかをよく考えて投資する必要があります。

投資目線

価値安定の要素である担保通貨の種類とそのボラティリティをチェックする

無担保型

コインの供給量をアルゴリズムで制御することにより価値の安定を目指すタイプが無担保型です。

自由市場での取引価格は、需要と供給の関係で決まります。供給量が一定なら、需要が増えれば価値が上がり、需要下がれば価値が下がるというのは想像に難くありません。

無担保型では国営銀行が行なっているような通貨供給量の調整をあらかじめ定めたアルゴリズム(シニョリッジ・シェア/Seigniorage Shares)を使って、価値を一定に維持します。

シニョリッジ・シェアでは、ステーブルコインとトークンの2つによりシステムが維持されます。

ステーブルコインの価値が規定より上昇したとき、トークンと引き換えにステーブルコインを発行し、コイン供給量を減少させます。ステーブルコイン価格の下落時には、ステーブルコインと引き換えにトークンを発行し、コイン供給量を増大させます。

このシステムもスマートコントラクトで実行されるため、非中央集権的に管理されます。

上記の構造を考えると、このシステムを支えるのは価格下落時にトークンを保有するモチベーション、すなわち、将来に渡ってコインの需要(価値)が上昇を続けることです。

これがこのシステムの最大の欠点とも言えます。

現状では、このシステムを維持できるほどの需要を集めるのが難しいというのが個人的な意見です。

投資目線

無担保型の前提は将来に渡ってコインの需要が増加し続けることというのを理解する

ステーブルコインの種類

2021年3月現在、49種類のステーブルコインを確認することができました。(CoinMarketCap)

ステーブルコインの時価総額TOP10は下記の通りです。

ステーブルコインの時価総額TOP10(2021年3月23日現在)

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ステーブルコインの比較

それでは時価総額TOP10のステーブルコインについて、その特徴を比較してみます。

比較のポイントは、

  • 時価総額
  • 目標価格
  • 変動幅
  • 担保型とその種類
  • 発行年(継続年数)
  • 運営団体

です。

ステーブルコインの比較 *右にスライドできます。

順位コイン時価総額[兆円]目標価格変動幅担保型/担保発行年運営団体
1Tether/USDT4.31USD$0.91-1.05法定通貨/USD,(BTC)2015Tether社
2USD Coin/USDC1.11USD$0.99-1.03法定通貨/USD2018Circle社
3Wrapped Bitcoin/WBTC0.821BTC0.84-1.15BTC暗号通貨/BTC2019BitGo社
4Binance USD/BUSD0.371USD$0.98-1.01法定通貨/USD2019Binance社
5Dai/DAI0.321USD$0.97-1.08暗号通貨/ETH,BAT,USDC2017MakerDAO社
6TerraUSD/UST0.151USD$0.85-1.04無担保型2018Terraform Labs社
7Reserve Right Token/RSR0.12RSVは1USD
(将来的乖離)
2019Reserve社
8Paxos Standard/PAX0.081USD$0.97-1.05法定通貨/USD2018Paxos Trust社
9HUSD/HUSD0.061USD$0.98-1.01法定通貨/USD2019Huobi社
10TrueUSD/TUDD0.031USD$0.98-1.06法定通貨/USD2021TrustToken社
*小数点2以下は切り捨てで記載。Source: CoinMarketCap

この表を見ると、基本的に米ドルとのペッグ、かつ、法定通貨型がメインになっていることが分かります。無担保型はトップのTerraUSDでも時価総額が低めというのを考えると、現状ではシステムの維持が難しいことが想像できます。

現在の需要は、暗号資産(仮想通貨)から法定通貨へ換金できる安心感に対するものが大きいのでしょう。

発行年が最も古く、時価総額が最も大きいのがUSDT(テザー)です。

長期に渡って一定の価格を維持し、基軸通貨として使われている点は評価できるでしょう。一方で、テザー社に関しては、2018年に準備金の裏付けやその透明性に関して疑念が生じ、大きく価格が変動した経緯もあります。また、一部資産がBTC(ビットコイン)であることも公表しており、完全な法定通貨型とは形を変えてきている

変動幅の観点では、USDC(USDコイン)とBUSD(バイナンスUSD)が上場来からターゲット価格に近い値で推移しており、現状では価格安定性が良好と言えます。

暗号通貨担保型では、イーサリアムのブロックチェーン上でBTC(ビットコイン)を取り扱うためのWBTC(ラップトビットコイン)、複数の暗号通貨を担保として組み入れるのが特徴のDAI(ダイ)が比較的高い時価総額で一定の流動性があると言えます。

ステーブルコインのリスク

ステーブルコインは価値が安定していることがメリットであり、この性質から派生して価値保存のために利用されたり、ボーダレスで手数料の低い送金システムとして利用できます。

では、ステーブルコインのリスクとは何でしょうか。

最も理解しやすいものが、価値の下落リスクであり、これは担保型に依存しています。

ステーブルコインの価値下落リスク
  • 法定通貨担保型:担保通貨の種類と管理母体の信用・透明性
  • 暗号通貨担保型:担保となる暗号通貨の安定性
  • 無担保型:通貨需要の成長が前提

まだ歴史は浅いものの、法定通貨担保型では2018年にテザー社が「裏付けなしにUSDTを発行した点や、仮想通貨の価格を操作するために発行した点」に疑いがかけられ、2019年に米ニューヨーク司法当局から訴追されるという事件がありました。

この裁判の行方は、2021年に入りテザー社側が19.4億円相当の和解金の支払いによって帰結しました。ただし、テザー社側は不正については最後まで認めていません。

また、主要国の中央銀行や国際機関が参加する金融安定理事会(FSB:Financial Stability Board)は2020年の報告書において、

  • ステーブルコインの大半はテストが不十分で隠れた脆弱性が存在すること
  • 包括的で透明性のあるステーブルコイン規制が必要である

ということを主張しています。

このことから、大規模利用された際にエラーが生じうる可能性規制強化によって価値が変動する可能性を考慮する必要があると思われます。

ステーブルコインの購入方法

最後にステーブルコイン購入方法について確認しておきます。

まず、この記事で扱った時価総額の高いステーブルコインは日本での取り扱いはありません。

したがって、これらのコインを購入しようとする場合は海外取引所を利用する必要があります。

わたし自身は海外取引所としてはBinanceが安定だなとは考えています。

▶︎アルトコイン投資でおすすめの海外取引所がBinanceである理由

ただし、海外取引所については下記のような記載が金融庁HPにありますので、くれぐれも自己責任にてご判断ください。

[参考 日本語のウェブサイトを設けていた海外事業者と取引した方向けの留意事項]

日本語ウェブサイトを設け、日本人の顧客を誘引していた者のうち、一部事業者においては、日本語ウェブサイトを閉鎖し、日本に居住する日本人との取引を停止するケースも出てきています。海外事業者に関連する取引がある場合、当該取引は、法令に適合した、法令上問題ない取引関係へと速やかに移行していただくようお願いします。

https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/index.html 金融庁HP 暗号資産に関するトラブルに御注意ください!

国内で取り扱っているステーブルコインについては2021年3月現在、下記の通りです。

 コイン発行年発行母体発行額購入場所
JPY Coin/JPYC2021年日本暗号資産市場株式会社1億円JPYCの公式サイト

この他にはGMOコインが、日本円を担保資産にしたステーブルコインGYEN(ジーエン)を発行すると発表していますが、日本国内では購入できません。

これは日本においてはまだ法整備が追いついておらず、ステーブルコインが暗号資産として定義されていないという点が影響しているようです。

法律の面が整備されれば、日本国内で発行される通貨や信頼性の高いものは取り扱われるようになると思われます。

国内で取り扱いコイン数が最大のCoincheckや手数料が最安のGMOコインなどはオススメなので、この機会に口座開設しておいてもいいかもしれません。

ステーブルコインの行く末は・・・

ステーブルコインはまだ登場して数年しか経っておらず、その価値は未知です。

ただ、ここ数年の価格推移を見るとBTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)とは明らかに違う動きをするため、利確後の価値保存手段として利用されているのも事実です。

その価値保存の点については、メリット・デメリットがあることを把握した上で、投資戦略の一部として考えることはできるかもしれません。

わたし自身は現在は保有していませんが、状況に応じてUSDCを対象に暗号資産(仮想通貨)の分散手段として取り入れると思います。

この記事が少しでもあなたの投資の参考になれば幸いです。

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