この記事ではバートン・マルキール氏、チャールズ・エリス氏著「投資の大原則 (第二版)」からアルトコイン投資に活かせる学びを紹介しています。
目次
「投資の大原則」とは
「投資の大原則 (第二版)」は、投資界隈では非常に有名なバートン・マルキール氏、チャールズ・エリス氏による全ての人に向けた投資方法の指南書です。2人の約50年に及ぶ研究の集大成とも言えます。
バートン・マルキール氏は「ウォール街のランダム・ウォーカー」、チャールズ・エリス氏は「敗者のゲーム」といういずれもベストセラー名著を生み出しています。今回紹介する内容が気に入った人は参照してみるのもいいかもしれません。
この記事では、「投資の大原則 (第二版)」で原則として扱われているものの中で、アルトコイン投資に応用できる考え方はあるのかを考察してみます。
そもそも「この本の内容を理解していたらアルトコインには投資しないのでは・・・?」というのはありますが、そこは暖かい目でみてください笑
原則1:とにかく分散投資
本書の中では分散投資が推奨されています。
具体的には、
- 投資種類(株式・債券・不動産・コモディティなど)
- 投資市場の分散(地域)
- 投資期間の分散→原則3で
が挙げられています。
例えば、代表資産クラスの年度リターンは下記のようになっています。
これを見るだけでも、毎年最もリターンをあげるクラス、毎年損失を出すクラスというのは同じではない事がわかります。このような性質から資産クラスの分散とリバランスの重要性が言われています。
ではアルトコインでの分散はどのように考えるべきでしょうか。
アルトコインは1つ1つの価値が小さくキャピタルゲインが大きい一方で、コイン自体の価値がほぼ0になるリスクも他の資産アセットより大きいことから、何らかの対策が必要で、その1つが分散です。
分散の方法はいくつか考えられますが、大きくは2つだと思います。
アルトコイン投資における分散
- 時価総額による分散
- カテゴリーによる分散
時価総額による分散
この方法は多くのインデックス・ファンドで利用される方法です。
分散効果が高くなる条件は、分散銘柄数が増えること、それらの銘柄が異なる動きを示す事が挙げられます。
ちなみに米国S&P500インデックスの構成比率はアップルの5.7%が最大で構成比率の最小は0.01%となっています。アルトコインの時価総額上位銘柄と並べて構成比率を比べてみます。
構成比率:アルトコインとS&P500のTOP15
これを見ると上位銘柄の構成比率がアルトコインで高くなる傾向にあることがわかります。1位はETH(イーサリアム)で30%近い構成比率です。
分散効果としてはやや弱くなりますが、市場での需要も反映されている事を考えると妥当かもしれません。
実際は、個別銘柄の標準偏差の相加平均と、ポートフォリオの標準偏差を分散から求め、比較することによって効果を判定するのですが、機会があれば別記事で算出したいと思います。
株式投資でも個人投資家の場合、10-20くらいまでの分散がコントロールできる目安とされています。
▶︎【2021年1Q】ビットコインとアルトコインの価格連動分析
カテゴリー分散
株式では、景気サイクル(成長、停滞、後退、回復)にそれぞれ強いセクターが知られており、セクター分散することによってポートフォリオのシャープレシオを高める事ができます。
シャープレシオとは、簡単にいうと変動リスクに対してどれだけリターンを得られるかという指標です。
アルトコインではいくつかの考え方があると思いますが、下記が候補です。
- 利用目的・応用範囲
- 使用するチェーンの種類(エコシステム)
利用目的の具体例としては、決済・送金、契約(スマートコントラクト)、金融(Defi)、価値保存(ステーブル)、権利保護(NFT)などが挙げられます。こちらでざっくりと紹介しているので、導入として確認してみてください。
使用するチェーンの種類とは、どのアルトコインをベースとした仕組みであるかということです。例えば、イーサリアムならERC-20トークンという規格が最も有名です。これをエコシステムと呼ばれ、そのチェーンで作られる社会・経済・仕組み全体のことを指します。
カテゴリーはCoinMarketCapから調べられるので、分類がよくわからない場合はこれを参考にするのが1つの方法です。
原則2:年に1回程度のリバランス
リバランスとは、投資資産の比率をあらかじめ決めた一定の割合に戻す作業のことです。
効果は、利益の出たクラスから利益が出ていない(割安な)クラスへ資金移動することで、長期における運用益を高めることです。
例えば、2種類(A、B)のアルトコイン比率を50%ずつ保有すると決めたとしましょう。
価格変動によりコインAが値上がりし全体の70%まで成長したとします。年に1回程度のタイミングでこのバランスを最初の設定比率である50%に戻すのがリバランスです。
株式のリバランスのポイントとしては下記の点が重要とされています。
- 定期的に実行する
- 実行回数は年1回程度で十分
アルトコインにおいて考えるべきは、実行回数です。
年1回というのは、個人が負担なく管理でき、かつ相場の変化が景気と連動しているところから妥当な範囲として提案されているものと考えられます。
実行回数は少なすぎるとリバランス効果が得られる前に相場の流れが変わってしまい、多すぎると取引手数料が割高になり利益を相殺してしまうという点があります。
アルトコインを含む暗号資産(仮想通貨)は、現状では非常にボラティリティの大きい相場であり価格変動の流れも早いため、一定の利益が出た時点、もしくは、より短いサイクルでのリバランスを検討する方が良いと考えられます。
原則3:ドル・コスト平均法による投資方法
ドル・コスト平均法とは、長期投資を前提に、定期的かつ定額で投資を行っていく手法です。
ドル・コスト平均法の特徴は下記の通りです。
- 短期の相場の変化を考える必要がない
- 長期で見ると平均購入価格が低くなる傾向
この方法では、定期的に定額を買うというルールなので、購入のタイミングで投資対象が割高か割安かを考慮する必要がありません。これは常に市場の変動を観察しなくて良く、日常生活を平穏に過ごせるというとてつもないメリットがあります。
また、ドル・コスト平均法では、投資対象が高い時には購入数量が減り、安い時には購入数量が増えることになります。これを長期で続けると、結果として平均購入価格を低く抑えて、より利益が得やすくなります。
唯一の弱点は、成立条件として投資対象が長期的に成長し続けなければいけないことです。
アルトコインを含む暗号資産(仮想通貨)市場は、この点について疑問を持たれる場合も多いです。アルトコイン市場は2005年の0.4兆円から2021年3月には168兆円まで成長しています。この辺りをどのように考えるかが投資判断に影響しますので、ご自身でよく考えることをお勧めします。
原則4:インデックス・ファンドをメインに
株式では、相場指標に連動するように運用されるインデックス・ファンドが最強と言われています。
その理由は、管理手数料が安い上に、平均リターンが高いからです。
また、インデックス指数に勝てるファンドマネージャーはほとんどいないということもデータとして各所で示されています。検索をかけると上位には証券会社の「インデックスだけでいいの?」的な記事が並びますが、これはポジショントークでしょう。
それではアルトコインを含む暗号資産(仮想通貨)でインデックス投資が可能なのでしょうか。
結論から述べると、現状では不可能です。
2021年3月現在では日本で購入できる上場投資信託(ETF)はありませんが、カナダでは2021年に入り3つ目の暗号資産のETFが登場しています。
種類としては、ビットコインETF、イーサリアムETFがあるようです。
実際、ETFが利用できるとすると現物を所有するリスクが減る、税金面で特定口座を利用できるなど個人投資家にとっては非常にメリットが大きいものとわたしは考えています。
この辺りの情報は今後も注視して見ていきたいところです。
自分にあった投資スタイルを
この記事では、投資の教科書とも言える「投資の大原則(第二版)」からアルトコイン投資に応用できることについて考えてみました。
まとめると下記の通りです。
「投資の大原則」からアルトコイン投資戦略へ
- 分散:時価総額かカテゴリーで。
- リバランス:短期サイクルか一定利益で。
- ドル・コスト平均:市場成長を見込むなら採用。
- インデックス:今は無理。ETF動向に注目。
よりアルトコイン全般に関わる項目については下記の記事に記載しました。
わたしも現在、試行錯誤中です。。。(現在のわたしのスタイル)
色々な情報や視点を取り入れながら、自分の心地よい投資スタイルにたどり着くよう共に学びましょう。
それでは。