この記事では、2021年1Q(1月-3月)のビットコインとアルトコインの価格連動について分析しています。
目次
ビットコインとアルトコインの価格連動はどうなっているのか?
ビットコインとアルトコインは価格連動について、
アルトコインはビットコインに完全に連動している
と聞くことがあります。
確かに、ビットコインは暗号資産(仮想通貨)市場の60%以上を占めており、暗号資産の価格を先導していると言えます。
しかし、一方で最近アルトコインは4000種を超えてきており、徐々にそのポジションを大きくしていることも確かです。
そこで、価格変動の相関はどうなっているのかについて、ビットコインと時価総額TOP10のアルトコインについて比較してしてみます。
期間は2021年1Q(1月-3月)を目安にグラフを作成しています。
価格変動の異なるコインを持つことは分散戦略の1つの考え方になりますので、ご参考に。
分析方法
ここでは、TradingViewの相関係数を利用しました。
上段には、対象アルトコイン(青)とビットコイン(オレンジ)の日足チャートを表示しています。
下段には、相関係数をグラフ化したものを表示しています。
相関係数は-1~+1の値の間をとり、下記のような意味を持ちます。
- 相関係数が+1に近い:価格が同じ動き方をしている
- 相関係数が0:価格に連動性がない
- 相関係数が-1に近い:価格が全く逆の動きをしている
この記事では、直近10日間の相関係数を出すように設定しています。
デフォルトは20日間ですが、アルトコインは価格変動が大きいため短めにしました。
ETH:基本は正の相関。連動性高め。
- イーサリアム/ETH
- 時価総額:$248,387,420,108 (Total 2nd/ Altcoin 1st)
- 1Q価格変動率:+162.84%
ビットコインに次いで時価総額の高いイーサリアム。
2021年1Qはビットコインをアウトパフォーム。
古株だけあって比較的価格は安定気味で、基本ビットコインと正の相関を示しています。
BNB:ビットコインとの連動が落ちてきている?
- バイナンスコイン/BNB
- 時価総額:$72,732,237,012 (Total 3rd/ Altcoin 2nd)
- 1Q価格変動率:+699.74%
近年、勢いを強めているBNB。
2021年1Qはアルトコイン時価総額TOP10の中で最も高いパフォーマンス。
ビットコインとは逆の値動きで上昇する局面も多くなってきている気配。
XRP:3月に入り相関が低下。訴訟展開に影響を受ける。
- XRP/XRP
- 時価総額:$64,900,167,544(Total 4th/ Altcoin 3rd)
- 1Q価格変動率:+139.71%
昨年末に訴訟問題に発展しているXRP。
2月に状況がひと段落し、4月には爆上げしています。(上記には含まれていません)
ビットコインとは性質的に異なる部分も多いので、訴訟懸念が完全に解消すれば。。。
USDT:ステーブルコインなので連動はしない。
- テザー/USDT
- 時価総額:$44,427,690,897(Total 5th/ Altcoin 4th)
- 1Q価格変動率:-0.22%
価格が1USDT=1ドルとなるように運用されるペッグ通貨です。
2021年1Qも平常運転されています。
ステーブルコインは暴落局面での資産の逃げ道として有用です。
ADA:相関低下局面でも、上昇する強さ。
- カルダノ /ADA
- 時価総額:$39,261,009,867 (Total 6th/ Altcoin 5th)
- 1Q価格変動率:+579.13%
アカデミアの技術が集結されているカルダノ 。
2021年1Qではビットコインとの連動性は低下しています。
2月中旬からの上昇局面ではビットコインと逆の動きを見せております。
DOT:全体的に相関低下傾向も、上昇局面ではビットコイン頼み?
- ポルカドット /DOT
- 時価総額:$38,112,746,146 (Total 7th/ Altcoin 6th)
- 1Q価格変動率:+347.12%
Web3.0を目指すポルカドット 。
2021年1Qでは価格を約3.5倍まで伸ばしました。
将来性は期待できますが、現状の価格上昇はビットコインにつられているように見えます。
LTC:基本はビットコインと同じ動き。
- ライトコイン/LTC
- 時価総額:$16,895,321,154(Total 8th/ Altcoin 7th)
- 1Q価格変動率:-55.55%
暗号資産の銀と呼ばれるライトコイン。
基本的にはビットコインと似たような性質を持つため、相関も高いです。
2021年1Qでは2月の価格調整局面で、大きく価格を下げ回復していません。
UNI:ビットコインとは逆相関の傾向が高め。
- ユニスワップ /UNI
- 時価総額:$15,457,621,617(Total 9th/ Altcoin 8th)
- 1Q価格変動率:+489.79%
Defiの中でもDEXに寄与するユニスワップ 。
2021年1Qではビットコインと逆相関を見せる場面が多く見られます。
他のアルトコインよりはビットコインとの連動は低そうです。
LINK:ビットコインとは近しい値動き。
- チェーンリンク /LINK
- 時価総額:$13,482,398,891(Total 10th/ Altcoin 9th)
- 1Q価格変動率:+148.09%
外部アプリケーションとの連携を目的とするチェーンリンク 。
2021年1Qは取引ボリュームも低めだった影響で、ビットコインと似た値動きとなっています。
現状では、分散効果は低そうです。
XLM:基本はビットコインにつられた変動
- ステラルーメン /XLM
- 時価総額:$13,176,803,135(Total 11th/ Altcoin 10th)
- 1Q価格変動率:+206.31%
個人送金系に特化するステラルーメン。
2月には投資企業Hashdexが提供する上場投資信託(ETF)の構成銘柄に組み込まれた影響で高騰したものの、その後は横ばい。
大きな上昇・下落局面ではビットコインとの連動が高そうな印象でした。
価格相関を分散投資の1つの参考に
この記事では、2021年1Qのアルトコイン時価総額TOP10について、ビットコインとの変動相関を見てみました。
2021年1Qはアルトコインにかなり追い風な影響もあり、ビットコインをアウトパフォームするものが多かったようです。
アルトコインの一般的な性質としては、ビットコインが上昇する局面ではより大きく上昇し、下落する局面ではより大きく下落する傾向があります。ただし、アルトコインの中にはビットコインとほぼ完全に相関するもの、逆相関が多いもの、全く相関しないものが存在します。
これらの保有比率を調整することで、比較的ボラティリティを抑えながら、暗号資産全体の上昇に乗っていける可能性があるのではないかと考えています。
特にアルトコインは、個別銘柄のニュースが価格に破壊的な影響を与えうるため、ビットコインを除き1つのコインへの集中は避けたほうが無難です。下記にはそれも含めて、運用戦略の参考になりそうなものをまとめています。
それでは幸運を祈ります。