この記事では、元ウォール街ヘッジファンドマネージャーの高橋ダン氏がETH暴落を予測・的中させた分析手法について振り返りつつ、今後に活かせるポイントを解説しています。
目次
暗号資産(仮想通貨)の暴落が発生。
2021年5月12日から17日にかけて暗号資産(仮想通貨)市場が大きく下落しました。
それまで強気をイーサリアム(ETH)は、2021年5月17日時点で一時最高値から28.8%の下落です。
トリガーとなったのは、米国Tesla社のCEOであるイーロン・マスク氏によるTwitter上での一連の複数発言とみられています。大体の流れは下記のような感じで不穏な空気を煽っていました。
イーロンマスク『ビットコイン・・・』
— たりたり🦉機関投資家株式運用 (@taritariblog) May 12, 2021
→価格上昇
『テスラを買えるようにするぞ』
→価格上昇
(こっそり売っておくぞ)
→価格下落
『実は売ってたぞ』
→テスラ株上昇
『やっぱテスラをビットコインで買うのは無しな』
→価格下落
価格操縦だろこれ
年初からビットコインやDOGEコインへの発言で大きな注目を集めている状態で、市場自体がイーロン・マスク氏の一発言に上下するという異常な状態が形成されていました。そこに、
イーロンマスクがテスラの保有BTCを売却したことをTwitter上のユーザーとのやり取りで示唆。
— DEG (@DEG_2020) May 16, 2021
そこから-3.5%の下落。 https://t.co/xHbB8AYJmF
とまで言い始め、市場の不安感を煽り、大きな下落へとつながっていきました。
*一次ソースが気になる方はイーロン・マスク氏本人のTwitterアカウントを参照ください。
すでに、ビットコイン→アルトコインへと資金が大きく移動し、2018年の一次バブル崩壊と似たような様相を呈していましたので、タイミングが悪かったとしか言いようがありません。
一個人の発言がこんなに市場に影響するのはどうかと思いますが、これが暗号資産(仮想通貨)市場の現状です。大事なのはこういう時にどういうスタンスを取れるかですね。
暴落の予測を的中させた高橋ダン氏の分析とは?
高橋ダン氏は元ウォール街のヘッジファンドマネージャーで、2019年末よりYouTubeに登録し、2020年からその的確な投資判断で急激に登録者数を伸ばしています。
今回は、上記のような不安定な相場において、市場の下落予測を的中させた高橋ダン氏の分析手法を振り返ってみたいと思います。
ポイント1:ビットコイン暴落の背景についての分析
客観的事実として、下記のように把握しています。
- 24時間で13%程度の下落があった
- イーロン・マスクがテスラ社でのBTC払いを停止するという発言
- ビットコインが環境問題を抱えるという指摘があった→誰もが知っている事実
一番重要な部分としては、「テスラ社がBTC払いを停止した」という部分で、他社も追随する可能性が高く、BTC自体の利用範囲が狭まるという点を挙げています。
環境問題については、今に始まったことではなく当初から言われていたことで、特にPoW系のアルゴリズムではマイニングに電力を消費するという点がこれに該当します。この環境問題の見方には諸説ありますが、ここでは詳細は割愛します。
高橋ダン氏がすごいなと思うのはいつも客観的に情報を整理していることです。話途中には感情が入りますが、事実の把握にはそこは含みません。
ポイント2:BTCのテクニカル分析
次にテクニカル分析です。
下落局面でよくみられるチャートパターンとして、「頭と肩2つ(ヘッドアンドショルダーズ)」の綺麗な形成がなされたという点を指摘しています。実際、動画投稿時点(2021年5月13日)での大きな下落が確信に変わるポイントだったようです。
このチャートパターンを元に下落を確信し、下記の点を指摘しています。
- $48,000レベルが大きなサポートレベル
- 次の下落ラインは$45,000レベルでおおよそ10%の下落幅猶予あり
- 下落後もボリンジャーバンドの範囲内
- 取引量は大きくないが、すでに4月下旬から売りが出ている
これらの点から、BTCがこの後もまだ下落する可能性が高いと判断しています。
分析手法に関しては、高橋ダン氏のYouTubeを参考に記事にしたものがありますので、ご参考まで。
そんなに難しいことはせず、シンプルな分析手法なので私たちでも真似できそうです。
ポイント3:ETHのテクニカル分析
続いて、ETHに関するテクニカル分析です。
ここでは、下記の3点を指摘しています。
- 日足のMACD線がシグナル線をクロス→下落トレンド
- 20日移動平均線からの距離が遠い
- 週足のRSIが異常に高い(88レベル)
これらの観点から、現在の価格は過大評価されており、下落する余地が非常に大きいと判断しています。
また、BTCや他のアルトコインが大きく下落しているのにも関わらず、ETHのみ下落が始まっていないという点も
自分で分析するときも日足・週足といくつかの時間軸で観察することが重要です。
ポイント4:具体的なアドバイス
これまでの分析をまとめると、
- BTCは大きな下落をしたが、まだ下落の余地がある
- ETHはチャート分析から下落トレンド入り+過大評価
- 他のコインが下落している一方でETHの下落が始まっていない
という状況です。
これを踏まえて、高橋ダン氏のアドバイスは、
長期保有分とETH同一金額をショート
でした。
通常は「同一金額ショート」という比較的大きなポジション提案はしない傾向にありますが、この部分については判断できる材料が多く確信が強かったようです。
実際の結果
2021年5月13日の終値から、
最大16%の下落を見事にヘッジ
できました。
動画配信の翌日には一度価格を戻していますので、そこからだと約24%の下落をカバーしました。
ボラティリティの高い暗号資産投資において、このような短期ヘッジをすることはリターンを高める上で非常に重要です。
何とも言えぬ相場雰囲気にある暗号資産市場ですが、冷静な分析と判断は非常に勉強になりました。自分はほぼポジションを閉じていましたが、BTC保有分の半額はヘッジできたので良かったです。
高橋ダン氏の分析まとめ
今回、高橋ダン氏がETH暴落をうまくヘッジできた分析のポイントをまとめると下記の通りです。
この下落自体はイーロン・マスク氏の発言がトリガーになったとされているわけですが、そういった予測不能な部分以外にも冷静に見ればいくつもシグナルがあるということでした。
ボラティリティの高い暗号資産(仮想通貨)市場では、情報収集の過程でFUDやFOMOに遭遇し、精神的に落ち着かない場面も出てしまうと思います。
今回の高橋ダン氏のような向き合い方をしていれば、そのような相場環境でも長く生き残ることができるのではないでしょうか。
それでは。