この記事ではアルトコインの運用戦略について考慮すべきポイントについてまとめています。
目次
アルトコインの運用戦略を決める
アルトコインへの投資をするにあたって、事前に決めておきたいのが運用戦略です。
言葉は仰々しいですよね。。。
「ヘッジファンドマネージャーでもないのに」と思われたかもしれませんが、個人の投資家でもそれが素人であってもこれを決めておくことが、ボラティリティ(変動率)の高い相場で平常心を保つ助けとなります。
これはアルトコイン投資に限った話ではありませんが、投資期間・投資比率・投資対象・運用手法・出口戦略ついて考えておくべきです。
アルトコインの運用戦略で決めておきたいこと
これらは投資の目的、個人の嗜好・生活環境・リスク許容度によって変化するものです。
正解が存在する訳ではなく、状況によっては変える必要があります。
この記事を通して、ご自身の納得のいく羅針盤を見つけていただけたら幸いです。
投資期間:全資産を投資期間で分類する
まずは自分の投資可能金額を投資期間で分類することが良いでしょう。
投資期間を設定する理由は次の通りです。
投資期間の設定理由
- 運用期間によって戦略が異なる
- 短期的な下落トレンドで狼狽売りしないため
- 長期的な下落を短期売買でリカバリー(ヘッジ)するため
一番の理由は精神的な安定を得るためだとわたしは考えています。個人的な感想になりますが、安定したメンタルで投資するというのは生活を充実させるのに本当に重要な要素だと思います。
暗号資産は1日で30%、1週間で50%変動することがザラなボラティリティの高い相場です。歴史的な市場暴落イベントである2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックでも1ヶ月で40-50%程度の下落であったことを考えるとその異常さがわかると思います。
このような相場では、いつ何時も価格変動が気になり仕事や日常生活ですら、精神を削られてしまう方が多いと思われます。
短期(数日-1ヶ月)と割り切ればある程度集中できますし、長期(数年以上)と割り切れば日々の価格を気にすることも少なくなります。
米国ウォール街での勤務経験があり、元ヘッジファンドマネージャーであるYouTuber高橋ダン氏は短期で10-30%、長期で70-90%の比率で分けることを推奨しています。
まずは、資産全体の中で短期・長期を分けてみましょう。特に短期はできなさそうという場合は無理に設定する必要はないようにも思います。
資産ポートフォリオ:全資産に対するアルトコイン投資割合を決める
次に、それぞれの投資期間の中でどれくらいまでアルトコインへ投資可能かを検討します。
ここに影響するのはあなた自身のリスク許容度です。
参考までに著名な投資家たちがどのような発言をしているのかをみてみます。
(ビットコインに対して)「重要なことは、ポートフォリオの中に株式をはじめ、(中略)このタイプの資産のいくつかを保有すること。ポートフォリオを分散化させること」
Bridgewater Associatesの創業者兼共同会長のレイ・ダリオ(Ray Dalio)氏
「2014年以来ビットコインでポートフォリオの1%を保有している」
S&P 500を10年連続アウトパフォームの投資家のビル・ミラー氏
「純資産の1%をビットコインに投資するかもしれない」
元ヘッジファンドマネジャー、米経済番組CNBCキャスターのジム・クレイマー氏
米国株高配当株投資で有名なYouTuberバフェット太郎氏も上記の点に触れており、「1%は最悪無くなってもカバーできるし、100倍になれば大きく恩恵を受けられる比率」としています。
注意していただきたいのは、上記はビットコインを想定して発言されていることで、アルトコインはよりリスクの高いものであるという点です。
これらを踏まえると、ポイントとなるのは、
- 他の資産との分散を考える
- 最悪失ってもいい金額を把握する
- 長期目線での投資が基本(これは個人次第)
ということになろうかと思います。
資産ポートフォリオバランスについては、再度高橋ダン氏の推奨を引用すると、
株式・社債・不動産:債券・現金:コモディティ(貴金属・暗号資産・その他)=4-6:1-3:2-4
です。
暗号資産は長期資産の全体の20-40%のうち、5-10%程度とのことでしたので、長期資産に占める保有比率は1-4%となり、この辺りの見解は著名な投資家で概ね一致しているように見えます。
投資比率の例
投資対象の選別:どのアルトコインへ投資をするか
投資額を決めたら、投資対象の選別をします。
現時点で種類や分類について知識がない場合は、ざっくりとこちらの記事で確認することができます。
ここからは個人の裁量に委ねられるので、わたしなら最低限避けたいリスクや考慮したいポイントについて記載します。
選定のポイントは大きく分けると特徴・将来性・リスクの3点から考えたいです。
アルトコイン選定のポイント
特徴:技術的な観点
どんなコンセプトで作られたコインなのか、どういう技術的な改良ポイントがあるのかなどを可能な限り理解しようとします。
これは基本的にはホワイトペーパーを参照します。
現状では、セキュリティ面を担保した上でどのように改良をしているのかというのを大事にしたいと思っています。これはセキュリティ面を過度に犠牲にして「こんなこと出来ます!」的なものにわたしは価値を感じないからです。
と言っても所詮、素人ですので限界はあります。しかし、それは株式投資でも同様のことで、何も知らずに投資するというのはこの領域においてはかなり危険なことのように思います。
現時点で見ておきたいと思うのは下記の通りです。
- アルトコイン発行の目的・用途
- 管理者が存在するか否か
- 発行上限があるか否か
- コンセンサスアルゴリズムの違い
- 他の競合アルトコインとの差別化ポイント
▶︎アルトコインのコンセンサスアルゴリズムの種類・特徴・比較
将来性:どんな応用が考えられるか
これはそのアルトコインがどんな分野に応用されうるかということです。
方向性としてはビットコインや既存アルトコインの上位互換(課題解決系)か、既存プラットフォームの拡張性を変えるものがあります。
例えば、ビットコインは下記のような課題が指摘されています。
- 処理速度が遅い(スケーラビリティ問題)
- マイニング難易度上昇による電力消費増大
- マネーロンダリング、闇取引への悪用
アルトコインの中にはこのような課題を解決するように発行されているものがあり、技術的に優れていれば将来的に価値が上昇する可能性があります。
また、Dappsというブロックチェーンを利用した分散型アプリケーションでサービスを提供するものがあり、そういったものは世の中に必要とされていれば、同様に価値が上がるでしょう。
この辺りは事業の将来性を予測するのと同様の感覚かなと思います。
リスク:詐欺や消失の危険性
アルトコイン投資でもっとも避けたいのは、詐欺や無価値になることです。
4000種類以上あるアルトコイン。
しかも、コイン発行には基本的に法的規制がなされていない状況です。
このような状況で詐欺などのリスクを完全に回避するのは難しくもあります。
現状である程度リスクを避けるポイントとしては下記のように考えています。
- 時価総額が大きく、ある程度の流動性がある
- 発行元がある程度信頼のある人物・組織である
- 他人からの勧誘や勧めはまず疑う
あなたも投資する際はくれぐれもお気をつけ下さい。
運用手法:キャピタルゲイン?インカムゲイン?
購入するアルトコインを決めたら運用を開始します。
アルトコイン投資において利益を得る方法は大きくキャピタルゲインとインカムゲインに分かれ、インカムゲインの中にはマイニング・ステーキング・レンディングがあります。
そして、利用可能な方法はアルトコインの取引承認方法などよって異なります。
ここでは詳細を割愛しますが、これらは暗号資産(仮想通貨)取引所、各アルトコインの公式サイトなどで実行することができます。
暗号資産の運用方法
キャピタルゲイン
これは説明するまでもありませんが、値上がり時に売却して利益を得ることです。
暗号資産(仮想通貨)は先物取引、レバレッジ取引にも対応している場合があります。
インカムゲイン1:マイニング
マインニングとは、PoW(プルーフオブワーク)を採用するチェーンにおいて、取引の整合性を検証することで新たなブロックを形成することを指します。
ブロック形成によって、その報酬としてコインを貰えるという仕組みです。
マイニングには膨大な計算量が必要なため個人で行うソロマイニングは難しく、複数のマイナーで実施するプールマイニングや企業が運営するマシンへ投資する形になるクラウドマイニングが主流となっています。
上記とは原理や意味合いが異なりますが、最近では分散型取引所(DEX)に対してコインの流動性を提供することでトークンを得る流動性マイニングに注目が集まりつつあります。
インカムゲイン2:ステーキング
ステーキングとは、PoS(プルーフオブステーク)を採用するチェーンにおいて、バリデータがネットワークに暗号資産を預け入れることを指します。
預け入れるコイン数や期間に応じて報酬をもらうという形です。
ステーキングには、預け入れ期間に資産を動かせないRockedステーキングと、自由に動かせるFlexibleステーキングがあります。
上記の流動性マイニングはこちらの方が仕組みとしては似ていると思います。
インカムゲイン3:レンディング(貸暗号資産)
レンディング(貸暗号資産)とは、その名の通り自身の保有する暗号資産を貸し出すことです。
貸し出しによって定められた利息を受け取ることができます。
通常の貸金融業を取引所を通して行なっているという理解で問題ないと思います。
出口戦略:損切りや利確のタイミングをどうするか
最後に出口戦略についてです。
損切りや利確のタイミングについては株式投資と同様の観点は必要かと思います。
ここでは特にアルトコイン特有の問題について2つ記載しておきます。
税金の問題
暗号資産による所得は雑所得に分類され、総合課税となります。
確定申告が必要か否かは各々確認するとして、わたしのようなサラリーマンでは利益が20万円以上の場合に確定申告が必要となります。
暗号資産では非常に大きな利益が出る場合もあります。
税金の仕組みを理解していないと所得税に加えて、翌年の住民税によって破産してしまう危険性があり、この辺りは十分に注意して利確することが必要です。(実際、このようなケースが2017年に多く発生したそうです。)
また、適切に申告しなければ脱税となり、忘れた頃に追加徴収なんてことになりかねません。
十分に注意してください。
価値崩壊の問題
今現在、ある程度の人が価値があると見込んで資金が流入していますが、確固たる応用例や拡大の見込みが立っている訳ではありません。
つまり、その存在を脅かす破壊的な技術や悪材料が出てきた場合には一気に価値を失う可能性があります。
わたしのような一般人が気づく時には時すでに遅しということもあります。
これは非常に難しい問題ですが、暗号資産という資産アセットから撤退する時のことも考えておいた方が良いでしょう。
自分を理解した投資戦略を見つけよう
この記事ではアルトコイン投資をする際の運用戦略について記載しました。
アルトコインの投資アセットしての特徴を理解した上で、自らの資産をどう分配するかは非常に大事です。
そして、ボラティリティの高い市場において、パニックになることなく運用していくためには、自分を理解して何が自分にとって心地よい投資方法なのかを見極める必要があります。
この点はわたしも試行錯誤しながら投資をしています。
ここでは紹介しませんでしたが、最低限のチャート分析手法を理解しておくと、より運用がしやすくなると思います。気になる方はこちらの記事で確認してみてください。
この記事が、あなたのアルトコイン投資戦略立案の一助になれば幸いです。